YouもMeもほぼほぼウイルス | 06.ウイルス性の風邪に抗生物質は危険!

投稿者:

前回「05.ウイルスは「バイ菌」の一種?」からの続きです。

 

抗生物質(抗菌薬)はウイルスには効かない!

さて、ウイルスが細菌の一種であるという思い違いで起こる恐ろしいことは、抗生物質(抗菌薬)の乱用です。

抗生物質とは「細菌性の感染症」の治療に使われる薬です。抗生物質の標的となる細菌は、細胞膜を持っており、抗生物質はこの膜を壊して細菌をやっつけます。ところがどっこい、ウイルスにはそもそも細胞膜自体がないため、となると、壊すものも壊せない…故に、ウイルスによる感染症、つまりほとんどの風邪には抗生物質は無効です。

 

にもかかわらず、風邪をひいて病院に行くと、抗生物質を処方されることがあります。抗生物質がウイルスをやっつけることができないのに、なぜでしょうか。実はこれ、ウイルス性の風邪で弱った体に別の細菌が感染して病気が起こった時のための予防的な意味で処方されているのです。何だか先々を見越していて、心配の種が一つ減りそうな処方ではありますが、しかーし! そのように気安く抗生物質を飲み続けると、細菌が抗生物質に慣れてしまい、いざという時に抗生物質がまったく効かなくなったりします。

このような抗生物質が効かない細菌を「耐性菌」※と言います。

※耐性菌と同じように「薬剤耐性ウイルス」というのもありますが、そちらも後ほど触れますね。

 

恐ろし過ぎる薬剤耐性菌とは?

また、複数の抗生物質が効かない細菌を「多剤耐性菌」と言います。これは大変恐ろしい菌で、今大変な社会問題になっています。多剤耐性菌に感染してしまったら、現代の医療技術では打つ手立てがありません。

私は3年程前に膀胱炎※で、もがき苦しんだことがあるのですが、その時は抗生物質を処方してもらい、1週間程で炎症が収まり、無事に復活することができました。もし私の膀胱炎が耐性菌によるもので、抗生物質が効かなかったら…考えただけでゾッとします。

 

※膀胱にバイ菌が入って炎症を起こし、おしっこの時に局部が死ぬほど痛くなる病気。悪化すると血尿や敗血症で死に至ることも…

 

ちなみに、このような抗生物質の乱用を食い止めようということで、国立国際医療研究センターでは、「薬剤耐性あるある川柳」で啓蒙活動を行っています。ええ、ええ、かの「サラリーマン川柳」の二番煎じ的な企画ですね。こちら誰も知らない企画かと思いきや、昨年2017年の応募総数は、なんと3,129句…皆さん凄い意欲ですね。せっかくですので、入賞者の方々の作品を一部ご紹介させていただきましょう。

薬剤耐性あるある川柳

金賞 耐性菌 増やす一言 「念のため」

銀賞 その風邪に ほんとに必要 抗菌薬

佳作 耐性菌 女房よりも 凄いやつ

 

(参照:http://amr.ncgm.go.jp/senryu/result.html

 

いかがでしょうか。もし、今年も川柳募集が開催されるならば、私も応募してみたいと思います。

 

「耐性菌 ダッセー菌に 聞こえたよ」

 

結構イケてると思うのですが、いかがでしょうか。あ、イケてない? そうですか…ええ、ええ、ウイルスと細菌の比較についてはこのくらいにして、次回からはウイルスと人間との関り、ウイルスがどのように発見され、ウイルス学がどうやってここまで発展してきたのかを見ていきましょう。

 

今回のおすすめのウイルス本

占い師がこれまでに読んだ中から、選りすぐりのウイルス関連本などをご紹介します。今回はこちらです。

破壊する創造者――ウイルスがヒトを進化させた

前回ご紹介した「Virolution」の日本語訳です。結構な暑さではありますが、ウイルス進化論のことがよくよくわかります。

内容紹介

エイズ、エボラ出血熱など命をも脅かす感染症を引き起こすウイルスは怖い存在だ。
しかし実は生物進化に重要な役割を果たしてきたという。
ダーウィンの進化論にも一石を投じる仮説を、生物学者で医師の著者がスリリングに証明していく。
ウイルスが自らの遺伝子を宿主のDNAに逆転写し共生していること、
ヒトゲノムの約半数がウイルス由来であることなど、
驚きの事実が解明され、医療に新たな道を拓いていく。 

 

以上です。

 

シリーズをおさらい>>