社畜系の人は感染してるかも!?「覚悟ウイルス」
ミツバチの社会性を研究していた東大のグループはある時、「覚悟ウイルス」というウイルスくんを発見しました。
ミツバチには巣の中で女王バチに尽くしている働きバチと、巣の外で門番をしている働きバチがいます。
ミツバチの巣には、天敵のオオスズメバチが時々攻め込んできたりするのですが、この時、巣の中にいる働きバチ達は危険を察知して、スタコラサッサと逃げてしまいます。
一方、覚悟ウイルスに感染したハチ達は決して逃げたりしません。逃げるどころか、果敢にオオスズメバチらに攻撃を仕掛けるのだそうです。
そして、ご存知の方も多いようにミツバチというのは、一度お尻の針で敵を刺すと、針が敵の体から抜けない仕組みになっているため(針が抜ける=針と共に内臓もろとも抜けてしまう)、立ち向かっていったら最後、そのまま死んでしまいます。ええ、ええ、自らの死をも厭わないのが、覚悟ウイルスに感染したミツバチなのです。
もしかしたら神風特攻隊は、この覚悟ウイルスに感染していたのかもしれません。この覚悟ウイルスは脳内で感染が広がるそうで、脳内麻薬のようなものにも思えます。突き詰めたらマインドコントロールの研究などにも役立つかもしれません。
というか、昔お付き合いのあったIT会社には、新規事業で社長口出しまくりの炎上事業、いわば「火中の栗事業」に自ら飛び込んでいく人がいたのですが、まさに現代の覚悟ウイルス感染者カモ鴨長明ですね…などと、ちょっと感慨深い気持ちになりました(多くの社員はそのまま焼き尽くされてしまったため)。
胎児を守る縁の下の力持ち「ヒト内在性レトロウイルス」
人をはじめてとして哺乳類の胎児は、母親と父親の両方の遺伝形質を受け継いでいます。
父親由来の形質は母親にとっては異物なので、本来ならば臓器移植の場合と同じように、外部から何か入ってキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
と免疫機能が作用して、攻撃&排除されてしまうはずなのに、そうはなりません。なぜでしょうか。実はこれにもウイルスが関係しています。
母親の胎盤の外側には、シンシチンというタンパク質の作業により作られている膜があります。その膜があるおかげで胎児は無事に発育できるのですが、この膜は胎児の発育に必要な栄養分や酸素は通しても、免疫機能であるリンパ球は通さないようになっています。
そしてこの膜を作るのに、ヒト内在性レトロウイルスというウイルスが役立っているのです。
つまり、ウイルスがいなければ、お母さんの免疫細胞に攻撃されてしまい、あなたも私も、今こうしてのほほんと過ごしていることはないのです。びっくりですね。
お役立ちウイルス10連発いかがでしたでしょうか? 今回紹介したのは、現在わかっている「善玉ウイルス」のほんの一例です。
今後もっともっと研究が進めば、数えきれない程の善玉ウイルスの存在が明らかになることでしょう。また、ウイルスを人工的に病気の治療に利用しようという動きも進んでいますのでそれは次回に…
今回のおすすめのウイルス本
我がこれまでに読んだ中から、選りすぐりの生物・ウイルス関連本などをご紹介します。今回はこちらです。
「なぜ病気を引き起こすような遺伝子が残っているのか?」
など、言われてみるとなんでこんな風に進化しているんだろう…という謎を解いていく御本です。
病気も何かの面では役に立っている(?)みたいな。
私は面倒になったら仮病使いますが。
以上です。