ずっと細菌と間違われていた巨大ウイルス「ミミウイルス」
その大きさ故、ずっと細菌だと思われていた巨大サイズのミミウイルスくん。名前の由来は、細菌に似ている(英語でmimic)ことから。1992年に肺炎が多発したイングランド北部にある病院の冷房の冷却器の中から発見されたのですが、公式発表されたのは、2003年でした。
後ほど詳しくご説明しますが、通常DNAにはタンパク質を作る(コードする)ための情報以外の部分(非コード部分と言います)がたくさんあり、人間ならばDNAの98%は非コード部分なのですが、ミミウイルスにはその部分が少なく、DNAのほとんどがタンパク質をコードできる感じになっているため、そこも注目されるポイントです。
ミミウイルスのゲノムサイズは120万塩基対で、細菌であるマイコプラズマの2.5倍。遺伝子数は1000個もあり(HIVは約12個、ヘルペスウイルスなどは約80個)、タンパク質合成などのこれまで発見されていたウイルスにはないはずの代謝機能の一部を持つものもいます。
えッ?なんかちょっと説明が難しい? ええ、ええ、ゲノムやDNA、遺伝子、塩基、タンパク質やコードなどについては、次の章でとくと説明をば…ここでは、とにかく何だか他のウイルスより規模がデカイのね~という感じで大丈夫です。
大量殺戮昆虫キラー「マイマイガ核多角体病ウイルス」
蛾(が)が苦手な方! 朗報です。マイマイガという蛾の幼虫に感染し、大量殺戮をするウイルスがマイマイガ核多角体病ウイルスくんです。 似たような特性を持ったウイルスはこの世にたくさんおり、ある種の昆虫が自然界に増え過ぎてしまった時に、何百万匹という単位で虫を殺して、自然界のバランスを取る役割を果たしています。こちらはバイオテクノロジーの世界でも活用されていて、害虫対策用の殺虫剤や生物防除剤として使用されているそうです。
レッドブル的な!?「オオバコアブラムシデンソウイルス」
通常は翅(はね)のないアブラムシに、翅を生えさせるウイルスくんもいます。ある場所にアブラムシが増え過ぎた時に、羽を授けて他の場所に飛び立たせてあげるのです。ええ、ええ、まるで「翼を授ける」のCMでお馴染みのレッドブルのようなウイルスですね。オオバコアブラムシデンソウイルスって名前が長過ぎるので、レッドブルウイルスでどうでしょうか。
個体の成長を促す「ショウジョウバエCウイルス」
ショウジョウバエに感染すると、あ~ら不思議。ハエの成長がスピードアップして、産卵数も多くなってしまうというウイルスがショウジョウバエCウイルスくんです。ただし、幼虫や成虫に感染した場合には、死に至る病原体となってしまうそうで、いんだか悪いんだかちょっと不思議な存在です。ええ、ええ、何かわけがあるんでしょうね。
今回のおすすめの生物・ウイルス本
我がこれまでに読んだ中から、選りすぐりの生物・ウイルス関連本などをご紹介します。今回はこちらです。
偶然と必然―現代生物学の思想的問いかけ
ジャック・モノ―
お世話になっているとある紳士からすすめられた御本です。
ちょっと難しくて途中までしか読んでないので…ええ、ええ、誰か一緒に読みませんか。
以上です。