今回はウイルスの豆知識をお届けです。
ウイルス=病気の原因はもう古い!色んなウイルス
さて、ここからは「ウイルス=病原体」という常識を覆すため、色々な特性を持ったウイルスについてご紹介したいと思います。単にちょっとおもしろいものから、かなり重要な任務を果たしているウイルスまで!ええ、ええ、そのウイルスがいなければ、私たちもここでこうして、ウフフアハハと過ごすことができなかったのだ!という重要な働きをしている「縁の下の力持ちウイルス」を含め、続々お届けします!
バブル経済を牽引!?「チューリップモザイクウイルス」
17世紀にオランダで起こった、世界で最初のバブル経済事件である「チューリップ・バブル」をご存知でしょうか? このバブルを牽引したのは実は、あるウイルスくんでした。
当時、花びらに美しい模様の入ったチューリップが高値で取引されていたのですが、この模様はチューリップモザイクウイルスくんに感染した結果、起こるものだったのです。ウイルスも発見されていない時代ですので、もちろん、美しい模様にウイルスが関係しているなんて知る由もがな…
チューリップの球根の売買は、花びらに模様が入るかどうか、一か八かの勝負のような投機と化していき、巨額のお金が費やされてバブルが起こったのでした。あ、ハイ、その後見事にバブルは崩壊しましたが。今回のコロナ自粛要請によるコロナ倒産もそうですが、ウイルスくんの経済への影響力、何気に凄いですね。
次いきましょう。
細菌より全然デカイ!巨大ウイルス「ピソウイルス」
現在見つかっているウイルスの中で、最大のサイズのウイルスがピソウイルスくんです。その長さは1500nm。
以前お伝えしましたが、インフルエンザウイルスの大きさは、0.1㎛です。
1 nm = 0.001 μm = 0.000001 mm ですね。
故に、ピソウイルスくんの大きさは1.5μmで、インフルエンザウイルスの15倍です。ウイルスという同じ仲間でサイズに15倍もの差があるって凄くないですかね。
ピソウイルスくんが発見されたのは2014年のシベリア。地表から30mの深さにある3万年前の氷床コアの中です。研究者が実験室に連れて帰ると、ピソウイルスくんは、「ふぁ~あ、おっはー」と3万年の眠りから覚めて普通に活動し始め、アメーバに感染して元気に増殖をし、皆を驚かせたそうです。
いないと地球は死の海に!?「シネココッカスファージSYN5」
海中にいるシネココッカスという藍藻を毎日大量に殺めているのが、シネココッカスファージSYN5くん。毎日大量に殺害だなんて…物騒な話だと思ったそこのあなた!この殺害がなければ、海は藻類で溢れてしまい、巡り巡って地球上の他の生物も、生き延びられない状態になると言われています。
ええ、ええ、実はこのウイルスくんは地球上の生物のバランスを保つのに決定的な役割を果たしているのです。この子がいないと、もっちのロン毛で私たちも生きてはいないのです。知らないところで、色々なことが起こっているのですね。
まるでワンマン社長の右腕役員を陰で支える部下「クルブラリア熱耐性ウイルス」
アメリカのイエローストーン国立公園で発見され、研究者をあっと言わせたのがクルブラリア熱耐性ウイルスというウイルスくんです。公園内には地熱で50度を超える場所があるのですが、そんな所にも植物が生えています。
その植物には乾燥や塩分、熱に対する耐性を与える菌類が感染しているのですが、その菌類に感染しているのがこのウイルスでした。で、ここからが大事な部分です。菌類からこのウイルスを取り除くと、菌類は植物に耐性を与えられなくなることが実験の結果わかったのです。すなわち、菌類に過酷な状況下でも生きられる様々な耐性を与えているのが、このウイルスと考えられるのです。
「ウイルス→菌類→植物」という三者による共生がなされているということです。
ワンマン社長(植物)を支える側近の役員(菌類)を支えるやり手の部下(ウイルスくん)といった感じですね。
この人↓
後半へ続きます。
今回のおすすめの生物・ウイルス本
我がこれまでに読んだ中から、選りすぐりの生物・ウイルス関連本などをご紹介します。今回はこちらです。
生命(DNA)は宇宙を流れる
フレッド ホイル, チャンドラ ウィクラマシンゲ
ええ、ええ、宇宙は生命であふれているという御本です。
科学的視点から説明してくれていますが、文系にもわかりやすい、とっつきやすい感じです。
生命は宇宙に充満しているのです。
地球だけ特別という考え方はナンセンスなのです。
「だからどうした」
と言われると困るのですが、そういう姿勢が既に自己中なのかもしれません(そうか?)。
ええ、ええ、自分は特別ではないですよ。
以上です。