寄生と共生の違いとは?をウイルスを例に見ていきましょう。
ウイルスの本質は「寄生」じゃなくて「共生」
宿主なしには、単独では生きていけないウイルスは、他の生き物に感染し「寄生」して生きているという表現がよくされます。
しかし、前にも書いたようにレセプターシステムで宿主側がウイルスを受け入れるかどうかを判断しているように見えることや、後ほどご説明させていただくように、
ウイルスがいないと、動植物の生活自体が成り立たない事例
が多数あることから、ウイルスの本質は寄生ではなく、「共生」なのではないか?と思われてなりません。
また、今回のコロナの一件では「ウイルスとの戦争」のような表現をよく見かけましたが、それは違うと思っています。
ええ、ええ、戦争してもウイルスの方が圧倒的に有利なので、戦ったところで…無理です。
新種のウイルスによって種の存在が脅かされる時というのは、戦わずして生き延びていける種だけが生き残っていくような気がしています。
えッ?戦争とかその前に、そもそも寄生と共生の違いがよくわからない?ならば説明させていただきましょう。
寄生
寄生とは、ある種の生物が特定の生物に栄養面で依存して生活することです。寄生する側は利益を得るのに対して、寄生される側(宿主)は、何らかの害を受ける場合を言います。寄生虫とかを思い浮かべてください。また、寄生虫は英語でパラサイト(parasite)と言いますが、いつまでも親元を離れずに家賃も払わず、家事もお母さんなどにおんぶにだっこな独身者のことを「パラサイトシングル」なんて言ったりしますね。まさにそのパラサイトです。
共生
共生とは、複数種の生物が何らかの関係を築きながら共存することです。共生には、相利共生と片利共生があります。ええ、ええ、持ちつ持たれつな関係。ポエマー風に言うと、お互いがどっちかがいないと生きていけない…などと盲目的になっている恋人同士も共生関係にあると言えるでしょう(それは下手すると依存では。。。)。
相利共生
相利共生というのは、2種かそれ以上の生き物がお互いに有益な共生関係にあることを言います。
片利共生
片利共生というのは、片方のパートナーが、相手に利益も危害もなく、自身は利益を得ている状態を言います。
感染しても相手に対して利益も病気も、もたらさない片利共生ウイルスとされているウイルスがいるのですが、それって表面的にそう見えるだけで、現時点では解明できていない役割があり、実は宿主の何らかの役に立っているのではないか…と、勘繰っている自分です。
この「共生」(相利共生)という考えは、本題のウイルス進化論を語る上で外せない概念のため、ぜひ心のどこかに留めておいてもらえたらと思います。ええ、ええ、後でまた出てきます。
今回のおすすめの生物・ウイルス本
我がこれまでに読んだ中から、選りすぐりの生物・ウイルス関連本などをご紹介します。今回はこちらです。
遺伝子の川
リチャード・ドーキンス
前々回、超大作であるリチャード・ドーキンス氏の「利己的な遺伝子」をご紹介したばかりですが、実は自分、「利己的な遺伝子」が壮大過ぎる厚さと重さだったので、先にこちらの「遺伝子の川」から入ったんです。
ええ、ええ、故に読者の皆様にも、その順番で読書してもらえたらいいかと思い、今回おすすめしてみました。
本書も十分読み応えあるのですが、もうちょっと深入りしたくなって「利己的な遺伝子」に手を伸ばしてしまうことでしょう。占い師には見えます(こういう時だけ占い師気取り)。
生き物は、遺伝物質の単なる運び屋であるというスタンスはそのままに語られるのですが、ただ、リチャード氏は進化論についてダーウィン派なんですよね。
我、生物の進化は自然による淘汰(自然選択)ではなく、ウイルスのゲノム書き換えによるものだと思っているので、そこだけはちょっと合致しないのですが、勉強にぜひ。
以上です。