さて、HIVもインフルエンザウイルスも、その他のウイルスもすべて、宿主(他の動植物)の中でしか生きていけません(増殖できません)が、それではウイルスはどのようにして宿主の体に入り込むのでしょうか。
ウイルスの感染経路には大きく分けて水平感染と垂直感染という、二つの感染の仕方があります。
水平感染
水平感染とは、空中に浮遊したり、飲食物に潜り込んだり、人と接触したり(握手、チョメチョメ、くしゃみ・咳等)、虫を介したりして感染することを言います。また、虫のようにウイルスを運ぶ働きをするもののことを「ベクター(媒介生物)」*と言います。マラリアやデング熱を媒介する蚊などが代表ですね。
*ベクター(媒介生物)それ自身は病原体ではないものの、病原体をある宿主から他の宿主へ運ぶ生物。
水平感染で代表的なものは人から人へ感染する、いわゆる「ヒトヒト感染」でしょう。コロナ禍での外出制限はヒトヒト感染防止のために行われたものです。
ちなみに、インフルエンザウイルスももちろんヒトヒト感染するのですが、インフルエンザの人が1回咳をすると、100万匹のウイルスが体外に出てくるそうです。ええ、ええ、まき散らさないように高性能マスクが必須ですね。
また、ウイルスは手の平にも普通に存在しているので、ヨーロッパやアメリカのような握手をする習慣の地域は、人の手を伝ってウイルスが移動しやすくなります。このため、日本のように握手ではなくお辞儀文化にした方がいいという意見もあるようです。
あ、ハイ、嫌いな人と握手するとその人のウイルスをもらうことになるので、嫌な人とは握手しないようにしましょう。私は運のいい人とたくさん握手するようにして、開運ウイルスをもらうようにしてます(スピってる?)。
垂直感染
水平感染に対して、垂直感染というものがあります。垂直感染とは親から子ども(母親から赤ちゃん)への感染のことです。姫君がウイルスに感染した状態で妊娠し、出産した子どもにその病気が感染するようなケースです。垂直感染の有名な例は、HIVやB型肝炎ウイルスなどです。
HIVは水平でも垂直でも感染するのでとても厄介です。垂直感染によるHIV患者が多いアフリカの国などでは、お母さんがエイズで亡くなった後、そのエイズの孫をおじいちゃん・おばあちゃんが打ちひしがれながら面倒を見なければならないといった、つらい状況の家族がいる地域が多数あるそうです。
今回のおすすめの生物・ウイルス本
我がこれまでに読んだ中から、選りすぐりの生物・ウイルス関連本などをご紹介します。今回はこちらです。
生物と無生物のあいだ
福岡 伸一
生物、生命とは何なのかについて、あらめて考えさせられる御本です。
しかも福岡氏の柔らかい丁寧な感じの口調(文調?)が素敵なんです。ぜひ。
以上です。