08.ウイルスの最初の発見者は誰?|YouもMeもほぼほぼウイルス

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さて、ウイルスの第一発見は誰なんでしょうか。

 

ウイルスの第一発見者でもめる

世界で初めて植物ウイルスを発見したのは、オランダの土壌微生物学者のマルチヌス・ベイエリンク博士とされています。ベイエリンク博士が発見したのは、タバコモザイク病を起こすタバコモザイクウイルスという植物ウイルスでした。

マルティヌス・ベイエリンク - Wikipedia

マルティヌス・ウィレム・ベイエリンク

(1851年3月16日 – 1931年1月1日)

オランダの微生物学者、植物学者。

 

ベイエリンク博士は、タバコモザイク病にかかったタバコの葉っぱの絞り汁を通常の細菌の大きさだったらすり抜けられないろ過器でろ過した後で、元気なタバコの葉にかけてみました。

すると、元気なタバコがタバコモザイク病にかかってしまったのです。そこで、このタバコモザイク病の病気の素を「生きている伝染病の液体」であるとし、ウイルスと名付けました。これが植物ウイルス最古の発見とされています。

Tobacco Mosaic Virus Guide

また、ドイツの生物学者フリードリッヒ・レフラー博士は、口蹄疫(こうていえき)を起こす動物ウイルスを発見しました。口蹄疫とは、牛や豚などの家畜がかかる病気で、発熱したり口の中や蹄の付け根などに水ぶくれができたりするものです。当初、口蹄疫の原因は細菌と考えられていたのですが、細菌の大きさでは通り抜けられないはずのろ過器を病原体が通り抜けてしまうことや、そのろ過した液体をどんなに薄めても、元気な家畜に与えると病気を発症してしまうことから、細菌よりも小さい粒子状で、しかも増殖ができる微生物が、口蹄疫の原因となっていることが判明しました。これが最初の動物ウイルスの発見とされています。

 

Friedrich Loeffler 2.jpg

フリードリッヒ・レフラー

(1852年6月24日 – 1915年4月9日)

ドイツの細菌学者。ジフテリア菌の発見者。

 

ちなみに、実験で使われたろ過器は素焼きの陶器のようなものです。今、エコな方の間で、ペーパーフィルターを使わずに、素焼きの陶器でコーヒーをドリップするのが流行っていますが、あんな感じですね。

 

ウイルスの発見につながった研究や、ウイルス研究の成果の歴史については、以下の「ウイルス(細菌含む微生物)と人間の歴史」をまとめてみましたので、ご興味のある方はご確認くださいませ。

結構頑張ってまとめてみました(暇か)。

 

ウイルス(細菌含む微生物)と人間の歴史

1676年 オランダの商人・科学者アントニー・レーウェンフック氏 自作の顕微鏡で微細な生物を発見し、王立協会に報告。微生物(細菌)の最初の観察。
1797年 イギリスの医者エドワード・ジェンナー医師 天然痘ワクチンを開発。
1860年 フランスの生化学者・細菌学者ルイ・パスツール博士 ワインやビールの発酵が微生物の増殖によるものを証明。
1876年 ドイツの医師、細菌学者ロベルト・コッホ博士 羊の炭疽(たんそ)菌を固形培地の上で純粋に培養し、それを羊に接種して炭疽を起こすことを証明し、細菌による病気発生説を確立。コッホ博士は、結核菌、コレラ菌の発見者でもある。ちなみに、東京都港区の白金(埼玉県にも)には、「コッホ北里神社」というコッホ博士が祀られた神社が!
1885年 フランスの生化学者・細菌学者ルイ・パスツール博士 狂犬病のワクチンを開発。あらかじめ免疫をつけて病気の感染を防ぐことを”Vaccination”と命名。現在のワクチン(Vaccine)の語源に。
1886年 ドイツの農芸化学者アドルフ・エドゥアルト・マイヤー博士 「タバコモザイク病」の名付け親。病気にかかったタバコの個体の樹液を用いて、健康な個体に病気を伝染させることができることを示した。
1892年 ロシアの微生物学者ドミトリー・イワノフスキー博士 タバコモザイク病の病原は細菌濾過器を通過しても感染性を失わないことを確認。病気の原因として、細菌よりもはるかに小さい感染物質を発見した。
1898年 オランダの微生物学者マルチヌス・ベイエリンク博士 タバコモザイク病の病原が未知の溶液状の物体「ウイルス」であるとした。
1898年 ドイツの生物学者フリードリッヒ・レフラー博士、ポール・フロッシュ博士 細菌よりも小さい粒子状で、しかも増殖ができる微生物が口蹄疫の原因となっていると発表。
1900年 アメリカの軍人ウォルター・リード大佐、イギリスの医者ジェームズ・キャロル医師 黄熱病の病原体が、ろ過性ウイルスであること、また感染が蚊を媒介したものであることを証明。これが世界初の人のウイルスの発見。
1908年 オーストリアの病理学者・血清学者カール・ラントシュタイナー博士 ポリオウイルスを発見。(後にABO血液型の発見でノーベル賞を受賞)
1911年 アメリカの病理学者・医師ペイトン・ラウス博士 ろ過性の無細胞病原体で鶏に固形腫瘍(がん)ができることを発見。ノーベル生理学・医学賞を受賞。
1912年 アメリカの学者ジョン・アンダーソン博士、アメリカの医者・疫学者ジョセフ・ゴールドバーガー医師 麻疹(ましん)ウイルスを発見。
1915年 イギリスの細菌学者フレデリック・トウォート博士 ウイルスが細菌にも感染することを発見。
1915年頃 フランスの生物学者フェリックス・デレーユ博士 赤痢の原因となる細菌を殺せる微生物を発見し、バクテリオファージと名付ける。
1918年 日本の細菌学者山内保博士 スペイン風邪(インフルエンザ)の世界的大流行が人体実験によりウイルス性の感染症ということを証明。原因はインフルエンザウイルスで、感染者は約5億人以上、死者は5,000万人から1億人とも言われる。
1931年 ドイツの電気技術者マックス・クノール氏と物理学者エルンスト・ルスカ博士 電子顕微鏡を発明する。エルンスト・ルスカ博士はノーベル物理学賞を受賞。
1935年 アメリカの生化学者・ウイルス学者ウェンデル・スタンリー博士 タバコモザイクウイルスの結晶化に成功。タバコモザイクウイルスがタンパク質と核酸(RNA)でできていることを証明する。ノーベル化学賞を受賞。
1939年 ドイルの医者ヘルムート・ルスカ医師 電子顕微鏡を用いて初めてウイルス(タバコモザイクウイルス)の写真撮影に成功。
1944年 アメリカの医者オズワルド・アベリー医師 遺伝物質の本体がDNAであることを発見。
1945年 イタリアの微生物学者サルバドール・ルリア博士、アメリカの微生物学者・遺伝学者アルフレット・ハーシー博士 細菌ウイルスの突然変異を証明。
1949年 アメリカの医学者ジョン・フランクリン・エンダース博士 ポリオウイルスの大量培養を可能にし、ポリオワクチン開発に大きく貢献。ノーベル生理学・医学賞を受賞。
1952年 アメリカの微生物学者で遺伝学者アルフレッド・ハーシー博士、マーサ・チェイス博士 細菌やウイルスを用いて、DNAが遺伝物質であることを証明。ノーベル生理学・医学賞を受賞。
1952年 アメリカの医学者・ウイルス学者ジョナス・ソーク博士 弱毒化したウイルスを培養して、ポリオワクチンを開発。
1953年 アメリカ出身の分子生物学者ジェームズ・ワトソン博士、イギリスの科学者フランシス・クリック博士、イギリスの生物物理学者モーリス・ウィルキンス博士 DNAの二重らせんモデルを提唱。発見には、イギリスの物理化学者・結晶学者ロザリンド・フランクリンが撮影したX線回折の写真が大きな貢献をしている。ノーベル生理学・医学賞を受賞。
1955年 イギリスの物理化学者・結晶学者ロザリンド・フランクリン博士 タバコモザイクウイルスの化学的な構造を解明。
1960年代以降 イギリスのサー・フレッド・ホイル、チャンドラ・ウィクラマシンゲ 生命が彗星によって地球に運ばれてきた「彗星パンスペルミア説」を提唱し、パンスペルミア説を飛躍的に発展させる。
また、彗星パンスペルミア説のみならず、伝染病をもたらす病原菌やウイルスも宇宙塵に含まれ地球に降り立ち蔓延するという「病原パンスペルミア説」も提唱。
さらには、生物の進化も自然淘汰ではなく宇宙から飛来するウイルスによって進化が促される説も提唱。
1976年 スーダンとコンゴ民主共和国でエボラ出血熱の初感染例。
1980年 世界保健機関(WHO) 天然痘根絶宣言。
1981年 アメリカのロサンゼルス在住の同性愛男性で初のエイズ症例報告。
1989年 米国カイロン社の研究グループ C型肝炎ウイルス遺伝子が発見。
1997年   香港で鳥インフルエンザH5N1がヒトに感染。
2001年 ヒトゲノムの完全配列が発表され、この時点で、その約11%がレトロウイルスの配列であることが判明。
2002年 中華人民共和国南部を中心にSARSコロナウイルスのアウトブレイク発生。
2003年 1992年、イギリスの病院で発見された巨大ウイルス「ミミウイルス」についての公式発表。
2003年 フランスとロシアの研究チーム ピソウイルスが、シベリアにある3万年前の氷床コアから発見される。
2006年 米国メルク社・MSD ヒトパピローマウイルスのワクチンの開発・発売。ヒトがん初のワクチン。
2011年 国際連合食糧農業機関(FAO) 牛痘ウイルス根絶宣言。
2014年 フランスエクス・マルセイユ大学のジャン・ミシェル・クラブリー博士、シャンタル・アベルジェル博士 永久凍土から発見された3万年前のウイルスがアメーバに感染可能であることが判明。
2014年 西アフリカでエボラ出血熱が大流行。
2016年 中南米を中心にジカウイルス感染症が大流行。
2018年 フランスエクス・マルセイユ大学のジャン-ミシェル・クラベリー博士らのチーム 巨大ウイルスが新しい遺伝子の産生工場になっているという驚くべき仮説を発表。

 

(*´Д`)ハァハァ …疲れたぜい。

 

今回のおすすめのウイルス本

我がこれまでに読んだ中から、選りすぐりのウイルス関連本などをご紹介します。今回はこちらです。

ウイルスの意味論――生命の定義を超えた存在(山内一也)

詳しくはこちらのページで紹介していますが、

本 | 「ウイルスの意味論」(山内一也)今、必読の書です!今読まないでいつ読む!?

 

今まさに読んだ方がいい本です。ウイルスがなんなのかわかり、知識が欲しい方は一気に追いつくと思います。

ウイルスがいる意味って、なんでしょうか。

ウイルスを恐れる前に、本書を読みましょう!!!GOGOGO!

 

以上です。

 

 

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