今回のお話も結構、おぉ…となると思います。
ウイルスは生物なのか非生物なのか論争
さて、ウイルスを定義する時に避けて通れない問題があります。それは、
「ウイルスは生命を持つ生物なのか、それとも生命を持たない非生物なのか」
という問題です。上の一文を見て、「へ?何言ってんのかわかんない」という人多いと思います。
最初に申し上げておきますと、実は現時点ではウイルスは「非生物」ということになっています。これを聞いて、「えッ?そうなん?」と違和感を覚えた方! その感覚、間違ってない! そう、学者さん達の間でも、生物派と非生物派に意見が割れています。
えッ? 私? そうですね、私自身はウイルスは生物だと思っています。ウイルスのことを知れば知る程、生きているとしか思えなくなります。
そして、なぜウイルスが生物なのか非生物なのか、ハッキリ言えないのかと言うと、そもそもの「生命(生物)」の定義がきっちり定まっていないからです。
生命の定義とは?
「生命」を定義するとしたら、あなたならどう定義しますか?
息を吸うとか、繁殖するとか、成長するとかとか…ええ、ええ、生命の定義に使えそうな生き物の特徴ってたくさんあります。このような特徴にのっとって、生命の定義を挙げ出すと、300にもなるという説があります。それくらい生命というのは、定義が難しい存在なのです。
そんな中、まあこんな感じだろうという現在の生命の三大定義が次の内容です。
1.体が膜で仕切られている
膜によって、体と外界とがはっきり分けられてる。
2.代謝を行う
エネルギーを使って生命の維持活動をしている。
3.子孫を残す
自分の遺伝子を受け継ぐものを自分で生み出せる。
するってぇと、ウイルスは、1・2・3どれにも当てはまらなかったりするんですよね(1の膜のあるウイルスはいる)。
また、ウイルスが宿主(感染する動植物)の細胞の外にいる時に、雪や塩のように結晶化できてしまうことなども、非生物とみなされる理由の一つとなっています。ええ、ええ、確かにその辺の生き物は、結晶になったりしませんので、結晶になんぞなられた日には、「モノ(非生物)」のようにも思えてきますね。
がしかし、結晶とはちょっと違うかもしれませんが、植物の種のことを考えてみてください。種は乾燥した状態だと、まるで「モノ(非生物)」のようですが、水や日光などを与えて芽を出し始めたら、間違いなく「生き物」です。
なんだかそれと似ている気がするんですよね~。ソロの状態の時のウイルスは命の宿っていない「モノ」のようですが、宿主の細胞内にいる時のウイルスは、どう考えても「生物」のようなのですよ。そちらについては、後ほど詳しくご説明させていただきますね。
ちなみに、消毒液などでウイルスを退治することを一般的に「殺ウイルス」と言います。ええ、ええ、そもそも生きていないのなら殺すこともできないので、ウイルスは私たちの潜在意識的には、生物に分類されているようです。
また、NASA(アメリカ航空宇宙局)では、生命を以下のように定義しています。
「ダーウィン進化が可能な自己保存的な化学系」
…うむ。これ、私にはかなり哲学的な定義で、しかも間違っているように見えたのですが、腹に落ちる方いらっしゃいますか? ええ、ええ、天下のNASAの定義ですので、「何も言えねぇッ!」ではありますが…ちょっと斜め上な感じがしないでもない表現であります。
今回のおすすめのウイルス本
我がこれまでに読んだ中から、選りすぐりのウイルス関連本などをご紹介します。今回はこちらです。
ウイルスと地球生命(山内一也)
ウイルス学者界のリンカーンこと、山内一也大先生が、文系の我にもわかる平易な言い回しで優しくウイルスについて語ってくださっている御本です。
ウイルスの基本を知りたい方ぜひ!短いのでおすすめです。
以上です。