本 |「遺伝子―親密なる人類史 上下」(シッダールタ・ムカジー)

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遺伝子―親密なる人類史 上下の感想をお届けします。

 

急にやってきた「シッダールタ・ムカジー熱」…(ええ、ええ、熱しやすく冷めやすい人代表ですが何か?)。

 

先日、シッダールタ氏の代表作、

「病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘 」

をご紹介させていただきましたが、今回はそれに続く大作をリコメンドしたいと思います。

 

 

遺伝子―親密なる人類史
シッダールタ ムカジー

 

こちらも上下巻合わせて850ページ程あるのですが、時間を作れば気合いでなんとか読めますので、読書好き!遺伝子・DNA・ゲノム、人類史、双子の不思議に興味がある!という方はぜひ。

というか、遺伝子とDNAとゲノムの違いが説明できないという方もぜひ。

子どもから質問された時に、スラスラ答えられたらちょっとかっこよくないですか。

 

で、本書内で私が一番グッときたのは、メンデルとダーウィンのところとDNAの構造解明のクリック&ワトソン&フランクリンのアレコレと、優生学からのナチスアウシュビッツのところと、、、そして、満を持して最高だったのはジェンダーと遺伝についてのところです。

皆さんは性格とか、物事の考え方とか、性別にまつわるアレコレとか(好きになる相手が異性か同性かなども含めて)について、

生まれもってのものなのか、環境(育てられ方、お付き合いする周囲の人々の影響)なのか考えたことはないでしょうか。我はあります。

 

生まれか育ちか…

 

そしてなんと、同性愛は遺伝子の影響が大きいということが判明しているそうです(詳しくは本書を)。

自身(肉体的性別はオナゴ)、女子っぽい格好をしていると、どうも「女装」しているようなちょっと歯がゆい気持ちになってしまうのですが、そういう感覚にも遺伝が関係しているのだろうか。

…本書によるとそのようなのです。

もちろん、後天的なものも否定できないし、それも認められているようですが、人の気質のほとんどは遺伝のようです。

ええ、ええ、考えてみたら「持ってないもの」は発現できませんもんね。

遺伝子の中にあるから表に出てくるのです。

優しいのも太っ腹なのも、意地悪なのもケチなのも遺伝子の影響…

となると、対人関係の悩みがちょっと軽減されそうですね。なんか性格的に合わない人と仕事をしないといけない時は、

「あれ遺伝だからしょうがないよ」

で諦めていきましょう。遺伝子を変えるのは至難のわざですので。

 

内容紹介

遺伝子の組み換えやクローニングなど、急激な研究の進展に危機感を覚えた科学者たちは、1975年に米アシロマに集い、研究のモラトリアム(一時中断)を決めた。だがその解禁後、人間の全遺伝情報を秘めた「ヒトゲノム」の解読競争にクレイグ・ベンターら世界中の科学者と企業がしのぎを削り、2000年にはヒトゲノム解読が発表された。一方、この解読後、DNA塩基配列の変化によらない後天的な遺伝現象を解明するエピジェネティクス研究が進み、山中伸弥らによるiPS細胞の作製は世界を驚嘆させた。そして今、ジェニファー・ダウドナらが開発した新技術「クリスパー/キャス9」により、人類は自らの設計図を望み通りに書き換えられる「ゲノム編集」の時代を迎えている。遺伝情報を読むだけでなく、書き換えることができるようになったとき、人間の条件はどう変わるのか?科学と倫理のせめぎ合いを通して、私たちの現在と未来を照らし出す記念碑的名著。
目次
上巻
第1部 「遺伝子というまだ存在しない科学」―遺伝子の発見と再発見(一八六五~一九三五)(壁に囲まれた庭;「謎の中の謎」;「とても広い空白」 ほか)
第2部 「部分の総和の中には部分しかない」―遺伝のメカニズムを解読する(一九三〇~一九七〇)(「目に見えないもの」;真実と統合;形質転換 ほか)
第3部 「遺伝学者の夢」―遺伝子の解読とクローニング(一九七〇~二〇〇一)(「乗り換え」;新しい音楽;浜辺のアインシュタインたち ほか)
下巻
第4部 「人間の正しい研究題目は人間である」―人類遺伝学(一九七〇~二〇〇五)(父の苦難;診療所の誕生;「介入しろ、介入しろ、介入しろ」;ダンサーたちの村、モグラの地図;「ゲノムを捕まえる」;地理学者;ヒトの本(全二三巻))
第5部 鏡の国―アイデンティティと「正常」の遺伝学(二〇〇一~二〇一五)(「それなら、わたしたちは同じね」;アイデンティティの一次導関数;最終マイル;飢餓の冬)
第6部 ポストゲノム―運命と未来の遺伝学(二〇一五~…)(未来の未来;遺伝子診断―「プリバイバー」;遺伝子治療―ポストヒューマン;エピローグ―ブヘッダ、アブヘッダ)
 

 

何か、内容も目次も難しそうぅ~無理~ッ!と思ったそこのあなた!確かに難しいです。

専門用語だらけだし、想像力を働かせないといけない部分もたくさん出てきますし、我のようなガチガチの文系や専門外の人間には、ちょっと1回で理解できないところもわんさか…

がしかーし、だからこそ、難儀だからこそ読むのに挑戦する価値があるという考え方も…

というか、それらを超えて何より面白いのでぜひ読んでみてください。

 

遺伝子―親密なる人類史(上)

遺伝子―親密なる人類史(下)

 

以上です。

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