@青山某所
「いけのりさん!いけのりさん!ちょっと聞いてください!!!」
「どうしたのです。何かいいことでもありましたか」
「ついに運命の出会いが!」
「きゃっ!!きたのですね!おめでとうです!」
(固く握手)
「飲み会の時、隣の席でちょっといいな~と思ってた人で」
「ええ、ええ」
「色々話してたらなんと、彼が引っ越す前のうちが私のお兄ちゃんと同じマンションで」
「ほうほう」
「昔買ってたペットの名前が一緒で」
「ええー、それはすごい」
「私の誕生日と彼のお母さんの誕生日が一緒だったんです!」
「う~ん…ソレ、運命の出会いっぽい予感」
「すみません、ついつい嬉しくて自分の話ばっかりしちゃって!」
「いんですよ~我もウレピーです」
「いけのりさんはこれまで運命感じたことってありますか?」
「えッ、運命…ですか。。。」
「です」
「運命…」
ええ、ええ、この姫君のように色々と偶然が重なると、運命カモ!
ってなりますよね~。わかります。
実は我も若い頃、猛烈に
「運命だ!ジャジャジャジャーン」
となったことがありました。ええ、ええ、今回はそちらをトレンディな感じのドラマ仕立てでお送りしようと思います。
御前の恋バナなんてまったく興味ナスという方は、堂々と読み飛ばしてください。
ではここからはじまりはじまりィ~
青いコートの君
主人公(池子):一つ星大学合格を目指し、鼻血を出す程ガリ勉中の浪人女子19歳、仙台市在住。
その人を見つけたのは、OK大学の入学試験会場でした。
田舎者の私は、ラッシュの東横線で試験前から疲れきって脱力状態。
自席で試験会場を見回しながら、ボンヤリ休憩をしておりました。
単語帳を真剣にめくり続ける者、
目をつぶって瞑想をする者、
寒そうに震えている者(武者震い?)…
この会場にいる1/4しか受からない。
頑張らねばナ~。それにしても…我の斜め前に座っている青いコートの人。
ううぅぅ~、なんて!なんて!!
わたし好みな男子なのでしょう。
さっぱりとした端正な顔立ち。
頭も性格も良さそう〜(根拠なし)。
うむ、都会は素敵な殿方がいっぱい~
浪人生活をなんとか無事に終えて早くこっちに来たいものですね。
「はっ!アカンアカンこんな所で…」
(アナタ!ここ試験会場ですよ!)
浪人生中は浮いた話がまったくなく、教科書たちが恋人だった自分。
今、この試験会場で殿方にうつつをぬかしている場合ではない。
正気を取り戻し、全集中で試験に臨む。
ラッキーなことに結構手応えがあり、まあまあ、安心な感じで試験終了。
ちょっと都内まで出て、観光してから北国に帰るか…
「ホント呑気な感じでいいですね」
という声が何処からともなく聞こえて来そうですが。呑気が一番。
筆記用具を片付け、早々と会場をあとにした自分であった。
…それにしてもあの青いコートの君。
本当の本当にかっこよかったな~キャハッ
でも、、もう会うことはないのだろう。
と、試験結果より殿方が気になってしまうお年頃。
が、しか~し!
数週間後には本命の国立大学試験が…
青いコートの君のことなど、サクッと忘れ地元北国へと戻り、ガリガリガリ勉街道まっしぐらです。
そして迎えた本命大学入試前日の夜。
「あああもう!」
緊張のせいやら何やらで、相当なナチュラルハイ状態…全く眠気が起きない。
どうにもこうにも黙っていられず、気分転換のため、ホテルから一番近いコンビニに出かけることにした。
じゃがりことダースチョコを選びレジへ、、、、とそこで、腰を抜かす出来事が。
「えッ、、ええええええーー」
レジ前、目に飛び込んできたのは、OK大学で見た青いコートの君であった…
「えええええー!えええーー!」(しつこい)
これはこれは…。ほんまに現実か。
レジは複数台あり、同じようなタイミングで会計を終えて、コンビニの外へ出たふたり。
何気に同じ方向へと歩き出していた。
なにやら並んで歩くのも変なので、少し歩幅を押さえて5m程後ろを歩く感じにしてみた忍足の池子。
青いコートの君は我の宿泊するホテルの方向へ進んでくようです…
おや~。もしや、ホテル一緒??
二人はあれよあれという間にホテルの同じエレベーター内に。
しかも、エレベーターは二人きりであった。
シーンとしている。
耳がキーンとする程…
ちょっと身の置き場が那須与一…
(でもつまらないギャグを使う余裕はあり)
と、そんなエレベーター内の張りつめた空気が突然、打ち破られた。
「…もしかしてなんやけど、、OK大学受けてたりせえへん?」
ええ、ええ、先に話しかけてきたのは、なんと青いコートの君でした。
どええええー!ええええーー!
どうしよう、、どうしよう、、、
大学入試本試験前夜にこの展開!
これは困る。テンション高橋克典です。
受験前夜の緊張からくるハイ状態を何とか落ち着けようと外に出たはずが、
ハイ状態のレベルが「欽ちゃんの仮装大賞」みたいに
『テ、テテテテテテテテッ…』
と上がってきてるのがわかります。
(テの感じ、通じますか?)
さて、どうなる浪人生!
次回につづきます。
青いコートの君
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