青いコートの君 第4話

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22:20  国立市…

 

青いコートの君との待ち合わせ場所は、学生たちで溢れ返っている国立駅前。

 

既に春もウララ…

もう青いコートを着ていないカモ鴨長明な予感の青いコートの君(くどい)を私はちゃんと見つけられるのか。

 

「心配~!!」

 

そう、、よく考えたらですね、まだ2回しか会っていないの。

(そのうち1回は後ろからジッと見てただけ←怖い。)

 

正直…ハッキリと君の顔が思い出せない健忘症の自分です。

 

昔むかし、とある友人が、人を好きになり過ぎると相手の顔を思い出せなくなってしまうと言っていて、

「んなアホな…」

と思っていたのに、、まさに今、その状態です。

 

うむ、もしかしたら、勝手に脳内で君の姿を美化しちゃってないか…

よく見たら変な顔だったりして…

などなどちょっとだけ不安になりつつも新歓コンパ会場を巧みに抜け出し駅へ向かう。

すると、おや、、ありえない程に足取りが軽い。

ええ、ええ、スッキップしてます。

 

もはやスキップ以上のスッキップ♪

わっいわ~い。るんるん~♪(バカ)

 

本当の本当に嬉しかったんです。

 

君が実は変な顔でもいい。

(勝手に進む変顔妄想…)

 

駅に近づく…と同時に高まる鼓動…

いやここまでくると、鼓動を超えて動悸、息切れ、めまいです。

 

「きゅ、救心が必要であるな。苦しい」

 

そして、、何ということでしょう。

(劇的ビフォアアフターですか?)

 

…いた。

 

「あああああああ!いた…いたーーッ!」(心の声)

 

駅までまだまだ距離があるのに、両目近眼(両目共0.3)なのに、青いコートの君は青いコートをぜんぜんっ着ていないのに!

速攻発見できてしまった、駅前のベンチに佇む君。。。

 

前よりも髪が短くなったのか、心なしかサッパリしています。

ちょっとだけ上向き気味の横顔の輪郭がきれいです。

 

これまた我好みな横顔である。

(横顔フェチの方には通じるはず…)

 

横からそっと近づき、さあ!声をかけるぜ!やるぜ!

いざ鎌倉!というところで(大袈裟過ぎませんかね…)

あちらもこっちに気が付いて、パッと手を挙げてくれました。

 

「お~うッ!」

 

「わーおひさ!おひさーー!」

 

「飛びます、飛びます」坂上二郎風に両手を激しくバタバタさせ、喜びを全身で表現してしまったなりふり構わない恥ずかしいオトメ19歳です(乙女の方がよくないですか)。

 

「元気そうやんーー」

 

「そっちも~連絡うれしかったよー…大学はもう慣れた?」

 

まったくのノープランで再会してしまった二人。

 

ではあったもののォ~、、自然と近況報告会が始まり、お喋りが止まらなくなっていました。

 

そして気が付けば、お時間は0時をゆうに過ぎていたという。

 

むろん、、青いコートの君の自宅の最寄駅への終電はとっくの昔になくなっていた。

 

そんな中、早寝早起き、健康志向な自分を急激に眠気が襲う…

 

「ふあ~あ」

 

大きくあくびをしてしまいました。そして、、、

 

 

…その時、歴史が動いた。

 

 

 

 

「もう眠いよな。うちって近いん?」

 

「うん歩いてすぐ」

 

「行ってもええ?」

 

 

えええええー。えええええーー。

 

ここでアカンと言えるだろうか。

ええ、言えない。というか、、そんなことを言う気もなく。だって

 

 

二人を止めるものは何もないのです。

 

 

「いいよいいよ!!!終電もないしおいでよ」

 

というわけで二人仲良く並んで自宅へ向かいます。

 

次回に続く。

 


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