パンスペルミア説とは

About Panspermia

 

このページでは、パンスペルミア説の由来・意味などについて解説してます。

もくじ

パンスペルミア説の意味

彗星パンスペルミア説とは?

広がる彗星パンスペルミア説

パンスペルミア説の歴史

パンスペルミア説の学者たち

パンスペルミア説の用語辞典

パンスペルミア説のニュース

 


パンスペルミア説の意味

パンスペルミア説は、生命の起源に関する仮説の一つです。パンスペルミア説は英語から読み解くとわかりやすいです。

パンスペルミア説は、英語では”panspermia”と書きます。

 

・ pan =「汎・そこらじゅうに」の意味です。

・spermia = 胚珠(種子)という意味です。

 

すなわち、パンスペルミアとは元々、「宇宙空間には生命の種が充満している。」ということを意味しています。

そしてさらにここから派生して、「地球上の最初の生命は地球で発生したのでなく、生命の種が広く存在している宇宙(地球外)から来て、地球で繁殖した。」という仮説のことを言います。

この生命の起源が宇宙にあるという説を「宇宙起源説」と言います。また、この考えと対極にあるのが、生命は地球で生まれたという生命の「地球発生説」です。
 

彗星パンスペルミア説とは?

パンスペルミア説の中で特に、生命が彗星に乗って地球に運ばれてきたという説を「彗星パンスペルミア説」と言います。

「彗星パンスペルミア」だけでなく、ほかにも色々なパンスペルミア説があります。

・「光パンスペルミア(radio-panspermia)」

・「弾丸パンスペルミア (ballistic-panspermia)」、「岩石パンスペルミア (litho-panspermia)」

・「意図的パンスペルミア」…

 

 

広がる彗星パンスペルミア説

この彗星パンスペルミア説に対して否定的な方や、オカルト&スピリチュアルな説だと思い違いされている方も世の中には結構いるようですが、

彗星パンスペルミア説は、ビックバンの名付け親でもある有名な学者フレッド・ホイル博士や、スリランカの天才数学者チャンドラ・ウィクラマシンゲ博士などが中心となって提唱している科学的な実証データに基づいた学術的な説です。

この二人の他にも、ノーベル化学賞を受賞しているスウェーデンの科学者スヴァンテ・アレニウスや、アイルランド生まれのイギリスの物理学者ウィリアム・トムソン、DNAの二重螺旋構造の発見者であるイギリスの科学者フランシス・クリックなど、名だたる学者たちがパンスペルミア説を支持しています。

こちらについて詳しくは「パンスペルミア説の学者たち」でも。

というわけでパンスペルミア説は、決して怪しいトンデモ説や都市伝説などではありません!(都市っていうか、宇宙伝説?)

生命の誕生と言えば日本では「原始スープ説」(原始の時代に海やら火山口の近くの池などの中で物質がどうにかこうにか化学変化を起こして生まれたという)が優勢です。

しかし、地球規模で物事を考える限定的な原始スープのような考えを一度その辺においておいて、一緒に広大な宇宙に思いを馳せられる宇宙起源説である「彗星パンスペルミア説」を真面目に考えてみてもいいかもしれません。

 

 

パンスペルミア説の歴史

 

ここからは、パンスペルミア説の歴史を振り返ります。

 

紀元前5世紀

ギリシャのアナクサゴラス

「万物の根源は無限に小さいがすべてのものを含んでいるものとしてスペルマタ(種)を考え、万物はスペルマタの集合体である」と説いた。

 

アナクサゴラスは、古代ギリシアの自然哲学者。イオニア学派の系譜をひくとされる。小アジア・イオニアのクラゾメナイ出身。紀元前480年、アテナイに移り住む。アナクサゴラスはイオニアからアテナイに哲学を持ち込んだ最初の哲学者である。

物体は限りなく分割されうるとし、この無限に小さく、無限に多く、最も微小な構成要素を、「スペルマタ」(spermata、種子の意味)と呼んだ。

さらに、宇宙(世界)やあらゆる物質は、多種多様な無数のスペルマタの混合によって生じるとし、宇宙の生成において、はじめはただごちゃまぜに混合していたスペルマタが、「ヌース」(nous、理性の意味、ヌゥスとも)の働きによって次第に分別整理され、現在の秩序ある世界ができあがった、というのが彼の根本思想である。

(ウィキペディア)

 


 

紀元前3世紀

ギリシャのアリスタルコス

「パンスペルミア:あらゆるところに存在する種子」という考えを提唱し、自然発生説を否定した。

アリスタルコス

 

アリスタルコスは古代ギリシャの天文学者、数学者。ギリシャのサモス島に生まれた。

同名の人物と区別するために、サモスのアリスタルコスと呼ばれることも多い。

宇宙の中心には地球ではなく太陽が位置しているという太陽中心説を最初に唱えた(このため彼は「古代のコペルニクス」と呼ばれることもある)。

彼の天文学の学説は広く受け入れられることはなく、ずっとアリストテレスやプトレマイオスの説が支配的だったが、約2,000年後にコペルニクスが再び太陽中心説(地動説)を唱え、発展することとなった。

(ウィキペディア)

 


 

1787年

イタリアの博物学者ラザロ・スパランツァーニ

「他の天体から何らかの原因で飛び出した微生物や生命の基礎となるものが、長い時間をかけて地球に到達し、そこから地球の生命が生まれた」と説いた。

 

ラッザロ・スパッランツァーニ (Lazzaro Spallanzani, 1729年1月10日 – 1799年2月12日) は、イタリアの博物学者。実験動物学の祖と呼ばれている。

1765年、スパランツァーニはフラスコに入れたスープを加熱殺菌し、フラスコの口を溶かして密封する実験を行い、微生物も自然発生しないことを確かめた。

しかし、この実験では密封したことにより発生できなくなっただけだとするジョン・ニーダムの反論を招いた。これは後に、パストゥールの実験により確認され、生物の自然発生説は完全に否定された。

 

(ウィキペディア)

 


 

1871年

イギリスの物理学者ケルビン卿(ウィリアム・トムソン)

「我々以外にも生命の世界が存在すると信じるとしたら、生命の種を胚胎した隕石が宇宙を飛び交っているということは十分に考えられる。それが地球の生命の起源であるという仮説は非科学的ではない。」と説いた。

 

初代ケルヴィン男爵ウィリアム・トムソン(英: William Thomson, 1st Baron Kelvin OM, GCVO, PC, PRS, PRSE、1824年6月26日 – 1907年12月17日)は、アイルランド生まれのイギリスの物理学者。

爵位に由来するケルヴィン卿(Lord Kelvin)の名で知られる。

特にカルノーの理論を発展させた絶対温度の導入、クラウジウスと独立に行われた熱力学第二法則(トムソンの原理)の発見、ジュールと共同で行われたジュール=トムソン効果の発見などといった業績がある。(ウィキペディア)

 


 

1870年代

ギリシャのドイツの物理学者ヘルマン・フォン・ヘルムホルツ

ケルビン卿(ウィリアム・トムソン)を弁護。「大きな隕石の奥深くなら大気圏突入時の加熱が及ばないし、隕石表面の微生物は大気との摩擦で吹き飛ばされてゆっくり落ちるため地面との衝突ショックも少ない。」と説いた。

 

ドイツ出身の生理学者、物理学者。 生涯[編集]. 1821年ポツダムにて生まれる。

父は哲学教師、母はアメリカ、ペンシルベニア州の創立者ウィリアム・ペンの子孫であった。

1838年、ベルリンのフリードリヒ・ヴィルヘルム医学学校に入学。医学、生理学のみならず、化学や高等数学を学んだ。

1842年、無脊椎動物の神経繊維と神経細胞に関する研究により、学位を取得。

(ウィキペディア)

 


 

1905年

スウェーデンのノーベル賞科学者スヴァンテ・アレニウス

「パンスペルミア」と命名。星の光の輻射圧によって生命素である胞子は運ばれる「光パンスペルミア説」を提唱。「生命を伝える種子は宇宙を漂流している。それらは惑星に遭遇し生命が生存する環境が成立するやいなや惑星の表面は生命で満たされる。」と説いた。

スヴァンテ・アレニウス

 

スウェーデンの科学者で、物理学・化学の領域で活動した。物理化学の創始者の1人といえる。1903年に電解質の解離の理論に関する業績により、ノーベル化学賞を受賞。

アレニウスの式、月のクレーター Arrhenius、ストックホルム大学の研究所名などに名を残している。

他にも地質学(氷河期の研究)、天文学、現代宇宙論、天体物理学といった方面にも手を出し、恒星間の衝突によって太陽系が生まれたとする説を提唱した。また、彗星の尾、太陽のコロナ、オーロラ、黄道光を放射圧で説明した。

また、生命が胞子の形で惑星から惑星へ運ばれたとする、いわゆるパンスペルミア説も提唱した。

(ウィキペディア)

 


 

1960年代~

イギリスのサー・フレッド・ホイル、スリランカのチャンドラ・ウィクラマシンゲ

生命が彗星によって地球に運ばれてきた「彗星パンスペルミア説」を提唱し、パンスペルミア説を飛躍的に発展させる。

フレッド・ホイル、チャンドラ・ウィクラマシンゲ

さらに、彗星パンスペルミア説のみならず、伝染病をもたらす病原菌やウイルスも宇宙塵に含まれ地球に降り立ち蔓延するという「病原パンスペルミア説」も提唱。 生物の進化も自然淘汰ではなく宇宙から飛来するウイルスによって進化が促されるという説、「ウイルス進化論」を提唱した。詳しくはコチラのページへ。

英国カーディフ大学天体生物学者チャンドラ・ウィクラマシン(Chandra Wickramasinghe)教授は2日、英紙「ザ・サン」に対して、「地球人はみんな宇宙人、みんな同じ宇宙の祖先を持つ」との持論を発表した。ウィクラマシン教授は、人類は数100万年前に彗星を通じて地球に持ち込まれた宇宙微生物であると示した。

教授は、「新しい恒星システムが形成した時に、一部の微生物が一定の方式によって彗星に入り、さらに多くの微生物を生み出し他の星へ運ばれる。それ故、人類は膨大な宇宙チェーンの一部分である。科学的証拠はこの説の方向付けになっている」と語った。

教授は、数億光年の歴史の中で彗星は宇宙を満たしている生命にぶつかり、持っている物質を宇宙に放ち、あらゆる星へ振りまいたとし、最初の「生命の種」が38億年前に地球に持ち込まれたと示した。教授は最初の生命の生成過程について説明はしていないが、生命の起源に対して明確な知識はなくても、一旦生命が生まれれば、その生命の宇宙における存続は必ず存在すると示した。

教授は亡くなった同僚で、天分学者兼科学フィクション作家のフレド・ホイル男爵と共に60年代から、地球の生命の起源は地球ではなく、他の天体で発生した微生物の芽胞が地球に到達したものである「パンスペルミア説」を提唱していた。 (参照:OverdoseJapan

 

Professor Chandra Wickramamsinghe

(フレッド・ホイル博士のウィキペディア)

 


 

1973年

イギリスの科学者フランシス・クリック

「意図的パンスペルミア説」を提唱。地球誕生以前に誕生していた別の惑星の知的生命によって、生命がロケットなどに入れられ「種まき」が意図的に行われた。これは空言ではなく生物学的に根拠を基に計算されている。

フランシス・クリック

 

イギリスの科学者。ノーサンプトンシャー州ウェストン・ファヴェル出身。DNAの二重螺旋構造の発見者として著名な人物であり、1953年にジェームズ・ワトソンと分子模型を構築する手法を用いてDNAの二重らせん構造を提唱。

タンパク質こそが遺伝物質であろうという意見も強かった時代に複雑な遺伝情報を持っているのは単純な物質のDNAであると提唱し、これが現在のDNA分子が遺伝情報を担う物質であるとすることの強い証拠となっている。

1962年にノーベル生理学・医学賞、1972年にロイヤル・メダル(王立協会)、1975年にコプリ・メダル(イギリス王立協会)を受賞。

(ウィキペディア)

 


 

2009年

NASA

彗星のサンプルから生命の素を発見。

彗星生命の素

(画像提供:NASA/JPL)彗星探査機スターダストが2004年に採集したウィルド彗星のサンプルから、生命に欠かせない成分であるグリシンが発見された。中に含まれる炭素の同位体比率が地球の炭素と異なることも確認され、地球上の生命の起源を宇宙に求める説の裏付けとなるとされた。(関連記事へ)

 


 

2010年
カナダの天文学者ポール・S・ウェッソン

「ネクロ・パンスペルミア説(necropanspermia=死のパンスペルミア説)」を提唱。「微生物が地球に到達した時には死んでいたとしても、その断片に残った情報が、地球で生命をもたらしたかもしれない」と述べた。

 

Paul S. Wesson, B.Sc., Ph.D., D.Sc., F.R.A.S (September 11, 1949 ? September 16, 2015) was a professor of astrophysics and theoretical physics.[1] He was educated at the Universities of London and Cambridge in England, and spent most of his career at the University of Waterloo in Canada. He also spent sabbatical leaves at Berkeley and Stanford in California, and was associated in his later years with the Herzberg Institute of Astrophysics in Victoria, Canada. He supervised numerous graduate students and postdoctoral fellows, and occupied several important administrative positions, including Science Director of the California Institute for Physics and Astronomy.

Wikipedia

 


 

2014年
イギリスの物理学者ポール・デイビーズ

著書生命の起源――地球と宇宙をめぐる最大の謎に迫るにてパンスペルミア説を支持。

 


 

2014年
欧州宇宙機関(ESA)

史上初めて彗星に着陸した無人探査機「ロゼッタ」の小型着陸機が行った初期観測で、地球に送られたデータを解析したところ、彗星の地表付近に残る気体から有機物が検出された。

ロゼッタ宇宙

 

小型着陸機はフィラエ。彗星は、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星。有機化合物は、生命の基礎である炭素原子を含む分子をもつ化合物を指す。
ESAのフィラエ担当マネジャーを務めるドイツ航空宇宙センターの科学者シュテファン・ウラメク氏は、この有機物質を調べれば、「有機分子が彗星によって初期の地球にもたらされたのかどうかを解明する一助になるだろう」と述べた。

(関連記事へ)

 


 

2016年
欧州宇宙機関(ESA)

探査機「ロゼッタ」の観測により、アミノ酸の一種であるグリシンがチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に見つかった。

彗星パンスペルミア・チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星

彗星にグリシンが検出されたのは初めてのことで、彗星などの小天体によって生命の素となる物質が地球へ運ばれた可能性を示す探査結果である。

(関連記事へ)

 


彗星パンスペルミアって?

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